ハルジオンの咲く頃
道を歩いていて、この花を見ると
いつもこの季節になると思い出す人がいる。
一番真ん中にいるタイプではなかったけれど、
つねに雰囲気にとけこんで、笑顔でいた。
人間関係の揉め事があるとみんな決まって相談していた。
落ち着いていて、怒ったり、人の悪口を言ったりすることがなくて。
特別、場を盛り上げたりするわけではないのに、
いないととても物足りなくて、不安になって。
いてくれると、なんだかとても嬉しくて。
ずっと同じ場所にいられないのはわかっている。
でも同じ場所にいてほしかった。
いなくなってしまうことに、気づかないふりをしていた。
気づきたくなかった。
あの花を見るたびに思い出す。
あの花が枯れても思い出す。
いつもどこかでがんばっているんだと。
何かあれば連絡をとりたいけれども、
なんだかためらうような。
話をすれば安心できて、うれしくなるのはわかっているけど
とっておきな気がして。
気づいたときに、しっかりと気持ちを伝えた。
やっぱり笑顔で受け止めてくれた。
さあ ここから また歩きだそう。