違う人にはならないでいてほしい。

職場でお世話になっていた人が退職をした。

ちょうどその人が退職をする数日前から連休を取っていた自分は、最後の日

会うことができなかった。挨拶もできないまま終わってしまった。

 

辞めてしまわれることが、寂しすぎて、本人にはっきり聞くことができなかった。

だから、自分と最後の同じ出勤日の日も挨拶ができなかった。しなかった。

「ほんとだよ」と言われるのが怖くて。

 

そのあととても後悔をした。している。連絡先を聞けばきっとだれかに聞くことはできるんだけど寂しくてそれができない。

 

普段は少し無愛想で、物のいい方もそっけないけど、

仕事は真面目で、何でも出来て、本当に憧れるような人だった。

 

同性なのでそういう好きではないのだが

ある意味ではそれ以上の好きがあったのかもしれない

だから何も、動くことすらできなかったのかもしれない。

 

小さい時、親戚のお兄ちゃんとかがきて、

帰ってしまう日の強烈な寂しさに似ていた。

一人で泣き出してしまうような。帰る日に台風が来て、

 

帰れなくなればいいのに。と思ってしまうような。

あんな気持ちに久しぶりになった。いや、今もなっている。

 

さみしいと叫んでもどうにもならないからどうにもしないけど、

職場に行くとなんだか虚しい。

違う部署だから普段の仕事に影響はないはずなのに辛い。

 

その人が退職するまでは、自分の方が先にここを去るだろうなと思っていた。

やりたいことがある。

そのためにここを去らなければいけないからだ。

ずっと迷っていた。

 

でも、その人の退職をきっかけに上司に相談をした。

なぜ今のタイミングで?と上司に聞かれたので、色々取り繕ってそれっぽい

嘘を言った。

やめて欲しくないと言われて、今は相談の状態だ。

 

どういう結末になるかはわからない、けれどどうにかは動きたい。

その人の存在は自分にとって最後まで影響を与え続けた。

 

いつか偶然街で会ったら泣いてしまうかもしれない。

いい歳してくしゃくしゃな顔で泣いてしまうかもしれない。

それでもその人は笑い飛ばすだろう。

 

そういうところが大好きだ。

 

僕のことは忘れてもいいから

違う人にはならないでいてほしい。